梅雨の狭間の晴れの日を選んで、初めて浜離宮恩賜庭園に行ってきました。
この日は気温も高く日向を長時間歩くにはちょっとしんどかったので、園内マップを見ながら出来る限り日陰を選びながら回りました。今回はその庭園内の様子をレポートします。
都心とは思えない閑静な庭園内
入り口は大手門と中の御門それと水上バス発着所の計3ヶ所あり、今回は大手門から入場。入り口で入場料(大人1人300円)を払い、園内に足を踏み入れるとそこは見渡す限り解放感ある庭園が広がっていました。
ところどころ松が点在し、芝も綺麗に手入れされ、暑いながらもすがすがしい空間が広がっていました。近くに交通量が多い道路がありますが、一歩園内に入ると都会の喧騒を全く感じない、ここが都心とは思えない静けさでした。
外国人観光客や若いカップルが木陰で休んでいたり、休日の昼下がりを思い思いに楽しんでいました。
圧巻の三百年の松
最初の見どころは、三百年の松。
今から300年前、ときの6代将軍家宣(いえのぶ)が庭園を大改修した時に植えられたと言われている黒松があり、根元から太い幹が前方に張り出し、堂々としたその姿にしばし圧倒されました。聞くと都内で最大の黒松だそうで、これは一見の価値ありです。
もともとこの地は徳川将軍家の鷹狩場だったそうで、4代将軍の家綱(いえつな)の弟の綱重(つなしげ)が海を埋め立てて甲府浜屋敷と呼ばれる別邸を立てたのが始まりとのことです。その後この屋敷は将軍家の別邸となり「浜御殿」と呼ばれ、改修工事を繰り返し11代将軍家斉(いえなり)の時代にほぼ今の姿になったとのことです。
季節ごとに咲く花々
6月のこの時期、園内には花菖蒲が綺麗に咲き誇っていました。紫や白の花を一斉に咲かせ、丁度見ごろを迎えていました。花数そのものは多くはありませんでしたが、庭園内の緑にとてもマッチしていました。
御茶屋と潮入の池
東屋で少し休憩を取った後、木陰の中を進むと広大な池が見えてきました。ここが潮入の池。その名の通り、海水を園内に引き入れているため、池の魚たちは海水魚。普通の日本庭園には立派な鯉が泳いでいるイメージですが、他の庭園と違うのは魚の種類。どんな魚たちが泳いでいるのかと興味深く観察していると沢山の小魚達が群れを作って泳ぎ回る姿が見えました。
池は潮の干満によってその姿を変えるのもこの庭園のユニークなところです。
池の周りには御茶屋が点在し、名前を燕の御茶屋、松の御茶屋、そしてお伝い橋という池にかかる橋を渡って池の中央には中島の御茶屋があり、どれも日本庭園にふさわしいたたずまいでした。
ビル群の中の日本庭園
園内奥に富士見山という見晴らしの良い築山が有り、そこから一望する庭園は見事でした。当時の将軍達もこの景色を見たと思うと何とも感慨深いものがありました。ただ当時と異なるのは、目の前の庭園の美しさだけでなく、背後の近代的な高層ビル群。日本庭園の和の空間と都会的なビル群が思いのほかマッチしていて、近未来の映画のワンシーンを見ているようで斬新的でした。首都東京には沢山の公園が有りますが、大都会の中に有りながら、時を忘れさせてくれるお薦めの公園です。